日々、患者さんを診ていると、かなりの方が寝つけない悩みを持っていらっしゃいます。違う症状で来院されていても、実は睡眠導入剤を飲んで寝ていることがわかってくることもあるのです。
寝つけない理由は、いろんな原因が考えられますが、東洋医学を基本とする鍼灸の施術をする中で改善されることも多々あるので経験を通じてご紹介していきます。
最近よく寝れるのは鍼灸のおかげ?
不眠症を治したいといって訪ねてくる患者さんは、皆さんが想像されるように多くはありません。ただ、施術を続ける中で、最近よく寝れるようになったという話は少なくありません。
鍼灸が基本としている東洋医学では、古くから不眠症の一つの症状である寝つけないことに関して、かなり研究されてきた実績があります。その実績として、失眠と呼ばれる足のかかとにあるツボが、不眠症の治療に使うツボとして名付けられたりもしてます。
ツボ以外にも、なぜ不眠症になるのか、なぜ寝つけないのかを東洋医学なりに解明しています。
東洋医学における不眠症の理由
ツボというのは、基本的には単独で存在している訳ではなく、ツボ同士が繋がりあって流れを作っています。それを、専門的な言葉で経絡とよんでいます。
ツボと経絡を電車に例えてみる
電車でいうところの、ツボは駅で、経絡を線路として表現したりします。そこを走る電車は、気というものや血といった栄養となるものを運んでいます。線路も一本だけでなく、体の中にはたくさんあって、昼間と夜間ではルートを変えて電車は走行しています。
不眠症の理由がわかった
実は、昼間と夜間でルートを変えていることに、不眠症の理由が存在します。というのは、昼間は活発に活動できるように必要な気や血といった栄養などを体の隅々に送り届けるのですが、夜間に走行するルートは、体を休ませるために隅々にいった気や血などを回収するような動きをしていると考えているのです。
不眠症の原因もいろいろある
不眠症になってしまう方は、なんらかの理由で、夜間に走行するルートに切り替えができず休まずにいるため寝つけないと考えられてきてます。
なんらかの理由というのは、例えば、心配事や悩み事を抱えてずっと頭の中で考えてしまって、いつまでも頭に栄養を必要としてしまう状況になってしまいルートを切り替える事が出来なくなってしまうことです。
また、夜間にルートを切り替えたとしても、体のコリなどによって夜間走行するルート自体が詰まってしまってうまく走行出来ないということもあったりします。
現代の医学ではどのように考えているのでしょうか?
一つは、アルコールやカフェインなどの生活習慣や日頃の悩みなどによって、自律神経の働きが上手くいかない時に不眠症になると考えられています。自律神経には、交感神経と副交感神経があり、自分自身の意識に関係なく活動的になったり、休めたりをそれぞれの神経が制することで成り立っています。
太陽の光が、不眠に影響!?
また、太陽の光を適度に当たらなかったりすることによって、睡眠の手助けをするメラトニンの生成が上手く働かない時にも起こったりします。
不眠に関しては、現代でもわかってはいない
睡眠に関しては、今現在も専門の研究所などで研究されているそうです。まだまだ分からないこともたくさんあるようですが、処方薬も様々な方向で開発されていますし、睡眠専門のクリニックなども開設されていたりするので、診断を受けて見るのも一つの方法ですよね。
鍼灸による施術ってどんなもの?
鍼灸師になるためには、東洋医学的な知識はもちろんのこと、西洋医学的なことも学び、国家試験に合格することで晴れて鍼灸師になれます。そのうえで、不眠症について、病院などではどのように取り組んでいるのか勉強してきたんですが、個人的に思うこととしては、東洋医学的に考えることと病院での取り組みはそこまで変わらないんだということです。
実際の鍼灸の施術では、不眠症に限らず、患者さんの体全体を診てバランスの崩れを確認していきます。バランスをとりながら、問題となっている場所を鍼であったり、灸をしていくことで改善していくようにしていきます。
バランスを取るというのが、今回の例えでいくと、駅や線路をメンテナンスすることで、スムーズに電車を走らせることができるようにするということです。
不眠症に効くツボは?
ここで、よく聞かれるのが不眠症に効くツボってなんですか?ってことなんですが、これが、非常に答えるのが難しいのです。確かに、不眠症の方に共通してよく使うツボというのはあったりするのですが、使用する目的が違ったり、組み合わせが大事だったりするんです。答えとしては、患者さんそれぞれにあったツボが存在するという感じになり、一般的な答えではなくなってしまいます。
日頃、不眠症のためにどんなことができるのか?
寝つけない不眠症の大きな原因の一つとしては、自律神経の主に興奮作用の強い交感神経から鎮静作用の強い副交感神経へのシフトチェンジができていないことです。
心に大きな悩みがあると興奮状態からなかなか切り替えることができなかったりしますが、なかなか日ごろの悩みをすぐには解決できないと思います。
体をほぐしてリラックス!
そこで、心の問題は、少し置いておいて、リラックスさせてあげられる体を眠る前にほぐしてあげるようにしましょう。いろんなほぐし方があるかと思うのですが、私がお勧めする方法は、手首や足首、肘や膝、肩や股関節といったいろんな関節を大きく回すように動かしてあげて、力まずにタコやイカのような軟体動物になったかように動かしてあげるのです。関節がスムーズに動くことを感じてもらった時にはずいぶん体はほぐれています。
ほぐしてから、布団やベッドに入るだけでもずいぶん寝やすくなりますよ。
お灸などで体を温める!
もう一つのお勧めをご紹介します。それは、お灸です。最近では、アロマ灸とか火を使わないお灸なども販売されていますし、温感も控えめで決して熱くならないように調節されたものも多いです。
このお灸を先ほどの関節をほぐすのとセットでやっていただくのがいいのですが、手首や足首、肘や膝で動かす時に違和感を感じるところがあったりします。そういうところにお灸をするととても効果的です。特に、足首や膝といった下半身の気になったところにお灸をしてあげると寝つきが良くなることが多いです。
関節の周辺は、大事なツボも多かったりしますし、このツボにお灸をしようとかこだわらずに、この辺りにしてみようというご自身の感性を大事にしてみてください。
最後まで読んで下さり、ありがとうございます。